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第三弾は、「あの銘醸に並び評された気鋭のカベルネが、数分の一価格」。

飲んで実に納得のキャノンボール♪

(同年号同銘柄) 「3000円でホントに美味しいカリフォルニア産カベルネが飲みたいなあ」とか、「6000円の偉大なカベルネがあったらなあ」とか、思いませんか？ ワタシは思います。

フツーの可処分所得しかない、つましいワインラバーだから。

いまから15年ほど前、同じように考えていたイスラエル人の男が、シリコン・ヴァレーにいました。

この男が凡人のワタシと違ってたのは、「そんなのナイから、自分でつくっちゃえ」と、その「ちょっとムリ」を実現させたことです。

■ 「みなさんコンチハ！ インチキ系ワインライター＆翻訳者の立花峰夫です。

」 このページは、カリフォルニアを中心としたアメリカワインをこよなく愛するワタクシめが、偏愛する銘柄をドラマチックに、ドラスチックに、そしてドメスチックにご紹介するコーナーです。

第3回めでは、トモダチっちゃあトモダチのワインを、マジメに取り上げようと思います。

キャノンボールの創設者・オーナーのヨアヴ・ギラット -Yoav Gilat- は、筆者とおそらく同年配でしょうかね、イケメンで、性格も愛想もよくて、とにかく「いいヤツ」なんですよ。

ワインはたいてい、所有者なり醸造家なりの人となりを表わしたものになりますが、ヨアヴの造るカベルネも、本人と同じくとっても「いいヤツ」でして。

お財布に優しいのに、万人に愛されるチャーミングさと確かなクオリティをもっています。

▼ ヨアヴを紹介します 2016年8月、筆者が公私ともども、かれこれ20年近くお世話になっているワイナリー、リッジ・ヴィンヤーズの社長を務めるデイヴィッド某より、一通のメールが届きました。

「近所に住んでるオレのダチ公がさ、自分でワイン造ってんだよ。

日本で輸入元探すために、再来月東京行くらしいんだけど、どっかつないでやってくれんか」と。

聞けば、イスラエル出身の弁護士兼ビジネス・コンサルタントだった男だと。

「ハイハイ、シリコン・ヴァレーあるあるね。

大金持ちの見栄張り道楽系ね。

どうせ、たいして美味くもないナパのカベルネが、2万円とかするんだろ？」 と思って、紹介されたその男、ヨアヴ・ギラットに連絡を取り、蔵出し価格の入ったワインリストを送ってもらいました。

キヤノンボール -Cannonball-というブランド名のついたそのワインは、カベルネではあったのですが、ナパではなくソノマか、または広域カリフォルニア表示のワインでして、値段がえらく安かったのです。

「ふむ。

これで味がよけりゃ、十分アリだな」 という感触を得たワタシは、インポーターでバイヤーをしている友人を何人か、来日したヨアヴに引き合わせました。

ワインのお味も、現物を試飲してみると「あら、素敵やん♪

」という水準だったので、紹介したうちのひとり、オルカ・インターナショナルのバイヤー(現・代表取締役)さんと、ハナシがとんとん拍子に進み、すぐに日本市場へヨアヴのワインが入ってくることに。

ほどなく、けっこういろんな店でそのワインを目にするようになり、「へえ、売れてるやんか」と、紹介者としてワタシはまあまあ嬉しかったのです。

ハナシを聞いてみると、ヨアヴは別段大金持ちではないことがわかりました。

2006年に立ち上げたブランドであるキャノンボールは、自社畑も、醸造設備も、テイスティングルームももたないヴァーチャルな感じのワイナリーです。

ブドウは契約農家から調達し、醸造・熟成はカスタムクラッシュの設備を借りて行っています。

それでも、立ち上げ時には50万ドルほどの資金が必要になったそうですが、手持ちの現金でポンと、みたいな話ではまったくなく、家族や友達に借金し、家を抵当に入れて金融機関からも融資を受けたそうです。

そこまでしても、「自分が飲みたいと思うワインを、つくりたかったんだよねえ。

ワインが大好きだったから、退屈な弁護士の仕事よりも、好きなことを生涯の仕事としてやりたかったんだ」と、たいへんシンプルな動機から始まったプロジェクトでした。

お値頃、お買い得なのに高品質というのが創業時以来変わらないコンセプトなので、味はいいけど値段がアホみたいに高い、ナパのブドウなんかもちろん使えません。

腕はいいけど値段がアホみたいに高い、カルト系醸造コンサルなんかも雇えません。

だからぶどうは、ソノマやほかの地区のものを使い、創業時の醸造家には、セゲシオなんかで醸造責任者をしていた職人肌のいぶし銀、デニス・ヒル -Dennis Hill-を雇いました。

地味だけど、「ギターの演奏がめちゃ上手なスタジオミュージシャン」みたいな人です。

デニスは2016年に引退し、今はその弟子だったオンディーヌ・シャタン -Ondine Chattan-が醸造責任者になりましたが、今もデニスからは彼の畑のぶどうを買っているそうで、いい関係は続いているとのこと。

デニスだけでなく、ぶどう供給元の栽培家とはどことも長いつきあいを、ちゃんと言うことは言い、注文するところはしつつも続けているそうで、まあお人柄ですな。

● 英国デカンター誌で、リッジ・モンテベロに並ぶ ヨアヴのカベルネは、2種類あります。

【1】当店販売価格2,720円税別のカベルネ・ソーヴィニョン(産地名表示はカリフォルニア：当ページの商品) 【2】気合いキュヴェであるイレブン・カベルネ・ソーヴィニョン(産地名表示はソノマ・カウンティ｜5,440円税別)はこちら＞＞ どちらも、とてもスムーズでスマートな味わいのカベルネで、酸味がしっかりあって、タンニンは剛直でない滑らか系、果実感はフレッシュで豊富ながらも過剰ではなく、凝縮感はほどよくありつつも、強さ・インパクトよりもバランスを追求したスタイルになります。

幅広い料理にあうでしょうねえ。

ノーマルとイレブンの違いは、後者のほうが複雑さ、スケール感がアップ、それでいて繊細さもアップというものだと理解してください。

このヨアヴのフラッグシップであるイレブン・カベルネの2016年が、2020年11月1日に出た英国『デカンター』誌のカリフォルニア産カベルネのオンライン版記事において、大変高い評価を受けたのです。

それも、リッジ・モンテベロの2016年を僅差で追うというスリリングな展開。

モンテベロ2016に与えられたのが94点なのに対し、ヨアヴのイレブン2016は93点でした。

モンテベロの2016は、ワイン・アドヴォケイトが96-98点、ヴィナスが98点をくれた、まあいつものことっちゃあいつものことですが、カリフォルニアを代表する偉大なカベルネ・ブレンドです。

ヨアヴ曰く、「リッジの近所に住んでいるからね。

特にモンテベロの大ファンで、どのワインよりもたくさん持ってるさ。

自分は別段ワインコレクターじゃないけど、モンテベロについては25ヴィンテージは自宅のセラーに揃ってる。

だから……今回の記事を見たときは鳥肌が立った。

本気で感動したんだ……」。

よかったね、ヨアヴ。

モンテベロ2016は、日本国内では未発売ですが3万円ぐらいはするワインなので(それでも品質を考えると安いとワタシは思っていますが)、6000円ぐらいのヨアヴのカベルネが、ほぼ同等の評価を受けるというのは、とてもスゴイことです。

そういう数値化できる客観的な比較以上に、自分が憧れてやまない存在に、「ウチの子」が並んで表彰されるのを見るのって、どんなにヨアヴにとってはエモい瞬間だったか、想像に難くありません。

そんなこのイスラエル人のカリフォルニア産カベルネ、本気でお買い得ですし、その人柄とサービス精神に思いを寄せつつ、たくさん飲んでもらえればワタシは嬉しいです。

ノーマル品はこのさい、ケース買いでしちゃってもいいかしらんと思います。

イレブンのほうは数量限定なので、おひとりさま1本限りとさせていただきたいところですが、特にお店のほうでそういう販売制限は今回設けないようなので、何本かポチられてもゼッタイ損はいたしませんよ。

そんなわけで、今後ともヨアヴのことをよろしくお願いします。

ぺこり。

• 商品価格：2,990円
• レビュー件数：0件
• レビュー平均：0（5点満点）
• ショップ　　：カリフォルニアワインあとりえ